2022年のJリーグ開幕が迫ってきた。各チームは初戦に向けて仕上げに入っていこうとしている。
目標を達成するには、明確なゴールの設定と、そこに至る道筋の逆算が必要だ。開幕戦は確かに大事だが、リーグ戦の1試合に過ぎず、その後もチームの歩みを止めないことが肝要だ。
ぶれなく前進するために必要なJ1の各チームが追いかける「理想」と、そこにたどり着くための道のりを探る。
■新戦力が入る余地はあるか
すでに、理想のチームはできあがってしまっているのかもしれない。ここ数年の川崎フロンターレの強さは頭抜けている。Jリーグ歴代最強ではないか、との声が上がるのも当然と思える充実ぶりだ。
昨年は始動前の守田英正に始まり、夏場には田中碧、三笘薫が抜けたが、負傷者が出る苦しい時期も乗り越えてJ1連覇を達成した。死角は見当たらなかった、というわけだ。
だが、その充実ぶりが悩みに転じる。チームが固まり過ぎているのだ。
かなりの移籍金を支払ったと言われるチャナティップの獲得はあった。今季J1開幕の1週間前に行われた富士フイルム・スーパーカップでは左ウィングで先発したが、後半途中から移ったインサイドハーフの方がプレーしやすそうだった。だが、そのポジションには負傷から戻ってきた大島僚太と、日本代表にも先発された「背番号14の後継者」脇坂泰斗がいる。
もちろん国内外のカップ戦はあり、リーグ戦でも一昨年のレアンドロ・ダミアンと小林悠のようなローテーションはあり得るが、それでは移籍金が割高になり過ぎるというものだ。
横浜FCから獲得した瀬古樹も同様だ。もちろんポジションは自ら奪い取るものだが、既存戦力と比べて川崎で過ごした時間の短さが不利に働く可能性は否めない。サイドバックもこなすなど、さまざまなポジションでプレーできる。よって、旗手怜央のサイドバック起用のように、鬼木達監督が新たな「発明」をする可能性はあるが、単なる「器用貧乏」にしてしまうには惜しい人材だ。