■必要なポジションには補強したが…
J2有力クラブの補強を査定する「J2のミカタ特別編」第6回は、徳島ヴォルティスとFC琉球を取り上げる。徳島は1年でのJ1復帰を目ざすが、移籍市場の収支は厳しい。昨シーズン過去最高の9位でフィニッシュした琉球も、複数の主力選手をJ1、J2のクラブへ手放した(#1、2のうち2)。
琉球は昨シーズン終盤に樋口靖洋監督を解任し、喜名哲裕ヘッドコーチが昇格した。残り8試合での監督交代は、この時点で2022年へ動き出した、ととらえることができた。
オフにはCB知念哲矢(浦和へ移籍)、ボランチ風間宏希(ザスパクサツ群馬へ移籍)、右サイドハーフ風間宏矢(ジェフユナイテッド千葉へ移籍)の主力3人が移籍を決断した。浦和から育成型期限付き移籍していた武田英寿(大宮アルディージャへ移籍)、16試合3得点の茂木駿佑(愛媛FCへ移籍)らもチームを離れ、CB福井諒司、FW赤嶺真吾の両ベテランは引退した。
必要なポジションには、しっかりと選手を獲っている。
FWには長身ストライカー野田隆之介(京都から加入)が加わった。クロッサーが揃っている編成を考えても、湘南ベルマーレや京都でプレーしてきた33歳はチーム戦術にマッチする。
横浜FCから期限付き移籍の草野侑己は、昨シーズンはレノファ山口でプレーした。チーム内2位にしてキャリアハイの5得点を記録しており、プロ4年目の今季は琉球でさらなる得点量産に挑む。
東京ヴェルディから加入した福村貴幸は、左利きのサイドプレーヤーだ。リスタートのキッカーを任せることもでき、20年には8アシストを記録している。彼は沼田圭悟との定位置争いに挑む。左右両サイドの人材には厚みが出ており、FW上原慎也がSBに入った昨シーズンのような緊急避難的起用は避けられるだろう。
風間宏矢が抜けた2列目には、中野克哉(京都から加入)と大本祐槻(新潟から加入)が加わった。大本はスピードに乗った仕掛けを強みとし、中野は得点やアシストが期待される。どちらも完全移籍であり、琉球で改めて存在感を示したいところだ。
また、ベトナム1部のサイゴンFCから、2選手の加入が内定している。いずれもMFのブー・ホン・クアン、ファム・バン・ルアンだ。どちらも年代別代表に選出された経験を持つ。