2022年のJリーグ開幕が迫ってきた。各チームは初戦に向けて仕上げに入っていこうとしている。
目標を達成するには、明確なゴールの設定と、そこに至る道筋の逆算が必要だ。開幕戦は確かに大事だが、リーグ戦の1試合に過ぎず、その後もチームの歩みを止めないことが肝要だ。
ぶれなく前進するために必要なJ1の各チームが追いかける「理想」と、そこにたどり着くための道のりを探る。
■去年までの鳥栖ではない
誤解を恐れずに言えば、去年までのサガン鳥栖ではない。
昨季の鳥栖で1000分以上出場したフィールドプレーヤーで現在も残っているのは、5人だけ。昨季途中に移籍した松岡大起のように、このオフに次々と主力選手たちがチームを後にした。昨季は約10億円の赤字を計上と、経営難に陥るチームは草刈り場となった。
さらには、金明輝監督が昨季限りで退任。パワハラ行為が認定されたとはいえ、窮地に陥ったチームを救い、苦戦が予想された昨季も7位でのフィニッシュに導いた指揮官を失った。今季の苦戦を予想する声が広がるのも、無理はないかもしれない。
だが、安易に悲観論に陥るべきではないだろう。クラブには、かつて中盤の底で汗を流した2人が帰ってきた。藤田直之は、ヴィッセル神戸とセレッソ大阪で主力を張ったのちに帰還。やはりボランチとして体を張ってきた福田晃斗も戻ってきた。こうした選手たちの成功体験は、今の鳥栖には心強い限りだろう。
また、開幕まで2週間を切った2月9日、昨季限りで愛媛FCを離れた森谷賢太郎の加入が発表された。キック精度が高く、複数のポジションをこなせ、ベテランの域に入っているものの、まだまだ存分に働ける選手であるはずだ。