■誕生する新しい時代のサッカー

 だが森保監督は酒井をそのままピッチに残した。酒井という選手が足をつらせやすい体質であること、いちどつらせてもまだ走り、戦える選手であることを理解していたのかもしれない。あるいはまた、同じサイドに立つ伊東純也、あるいはインサイドMFの守田英正田中碧の助けがあるとはいえ、アルドサリとアルシャハラニに対抗するには、山根では不安があったのかもしれない…。

 しかし現代のサッカーでは、前線の選手だけでなく、両サイドバックの選手たちも攻守両面でスプリントを繰り返すことを求められている。左サイドの長友→中山のように、右サイドにも「フレッシュな足」の投入を想定しておくことは、戦術的に大きな意味がある。

 2020年、新型コロナウイルスのパンデミックから世界のサッカーが「競技再開」にはいった以降、世界中で使われるようになった「5人交代制」。それは当初の「緊急措置」にとどまらず、固定されたルールになろうとしている。もちろん、交代枠は、アクシデントに備えるものでもあるが、戦術的、戦略的にもっともっと新しい活用方法が考え出されていくはずだ。そしてそのなかから、新しい時代のサッカーが誕生していくに違いない。

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