新型コロナウイルスは、世界中に大きな影響を与えた。サッカーの世界も、その例に漏れない。ただし、その変化はサッカーを進化させる可能性もある。
「5人交代制」はサッカーに何をもたらし、どんな未来をつくり得るのか。サッカージャーナリスト・大住良之が考察する。
■森保ジャパンの勝利の方程式
今回のワールドカップ・アジア最終予選で、森保一監督は昨年10月のサウジアラビア戦以来、6試合連続で同じ交代を行っている。後半の途中で、長友佑都に代えて左サイドバックに中山雄太を送り込むのである。10月の2試合では終盤の交代だったが、11月以降は60分をめどに交代が行われている。長友には経験があり、東京オリンピックの代表だった中山には強さとともに左足のキックがある。今回の予選がもしルールどおり「交代3人制」だったら、10月の2試合目のオーストラリア戦、あるいは11月の初戦ベトナム戦あたりから先発は中山になっていたかもしれない。「3人制」のもとでは、できれば交代枠を守備陣(GK、DF、ボランチ)で使いたくはないからだ。
だが「5人制」という状況を生かし、10月以来、長友を60分間プレーさせ、その中山に代えて試合を終わらせるという使い方を固定させた。「交代5人制」によって、主として攻撃陣で考えられていた「戦術的交代」を、森保監督は守備陣にも広げたのである。