新型コロナウイルスは、世界中に大きな影響を与えた。サッカーの世界も、その例に漏れない。ただし、その変化はサッカーを進化させる可能性もある。
「5人交代制」はサッカーに何をもたらし、どんな未来をつくり得るのか。サッカージャーナリスト・大住良之が考察する。
■日本代表にも見られた影響
2月1日のサウジアラビア戦の後半33分、2-0の状況で、日本代表の森保一監督は南野拓実に代えて浅野拓磨を送り出した。これで日本の前線には、右から伊東純也、後半23分に大迫勇也に代わってはいった前田大然、そして浅野と、「スピードスターそろい踏み」となった。
久保建英や堂安律といった、間違いなく次世代の日本代表の攻撃を担うテクニシャンの投入を期待していたファンやサポーターは落胆したかもしれない。しかし森保監督のメッセージは明らかだった。「前線からの守備の圧力をさらに高めろ。相手はリスクを冒して前に出てくる。DFラインの背後にできるスペースをスピードでつけ!」―。
選手たちは見事に反応した。後半37分に酒井宏樹から始まって伊東―守田英正―前田―酒井と渡って右サイドを突破、3本続いたワンタッチパスの後、酒井が4本目のワンタッチで中央に送ったボールに走り込んだ浅野が合わせたときのように、日本が繰り出すDFライン背後への鋭い攻撃への対応でサウジアラビアが右往左往する間に、試合は終了した。