■サウジ戦の3トップはオーストラリア戦のオプションに

 今回の2試合で、日本はピンチをチャンスに変えた。個人としてもチームとしても自信を深め、戦力が底上げされた。

 吉田麻也冨安健洋を欠いたCBでは、ともに最終予選の出場がなかった谷口彰悟板倉滉が2試合連続でコンビを組み、クリーンシートに貢献した。谷口は長友と同じようにコンディション調整の難しい国内組ながら、強度の高い守備で安定感をもたらした。

 海外組で試合勘に不安のない板倉は、期待どおりのレベルを示した。彼らのパフォーマンスは吉田と冨安が突出していたCBの序列を、良い意味で変えてくれた。

 前線では前田大然が2試合連続で途中出場した。得点こそ奪えなかったが、19年のコパ・アメリカ以来となる出場は、残り2試合への助走になりそうだ。サウジ戦のラスト10分強で実現した伊東、前田、浅野の3トップは、3月のオーストラリア戦で興味深いオプションになるかもしれない。

 日本がサウジを破った同日、オーストラリアがオマーンと2対2で引き分けた。終了間際に失点し、勝点3を逃した。日本は勝点18で、オーストラリアは勝点15で、3月24日の直接対決を迎えることになった。

  シドニーで開催される一戦で負けると、日本はオーストラリアに勝点で並ばれる。得失点差ではオーストラリアが上回っており、3位に転落してしまう。

 ホームのオーストラリアは、間違いなく勝利を求めてくる。日本はリスクマネジメントをしつつ、カウンターから得点を狙う展開も想定しておくべきだろう。その意味では、2対0とリードしたあとの試合運びを応用できそうだ。相手にボールを持たせることはあっても、危険なエリアに侵入させない守備ができていた。

 そのうえで、伊東、前田、浅野の3トップだ。3人揃ってスピードを武器とする。前がかりになることに対して、オーストラリアはリスクを感じるに違いない。サウジ戦でも彼らが出場していた時間帯に、浅野が決定機を迎えた。前線からプレスを仕掛けることもできる彼らが揃うと、オーストラリアは警戒心を強めるはずだ。

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(2)へ続く
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