■森保監督は批判に勝った
今回ばかりは、森保一監督の勝利だ。周囲の雑音を封じ込めた。2月1日のサウジアラビア戦は、指揮官の決断が勝利に結びついた。
スタメンには手を加えなかった。左サイドバックは中国戦でアシストを決めた中山雄太ではなく、この日も長友佑都だった。カタールW杯アジア最終予選5試合出場でノーゴールと、波に乗れていない左ウイングの南野拓実も先発した。
そのふたりが、得点に絡んだ。
南野は32分に先制点をあげた。右サイドを爆走した伊東純也のクロスを、ゴール前へ走りこんだ大迫勇也がスルーする。背後でパスを受けた南野は、得意のフェイントでDFの体勢を崩し、左足で決めた。
南野はタッチライン際を上下動するタイプではない。内側へポジションを取りながらボールに関わり、シュートシーンに登場する。メインのタスクはサイドからのクロスの供給ではなく、コンビネーションを生かしたパスやフィニッシュだ。
4-3-3のシステムで左ウイングに収まっているが、南野の立場は必ずしも安泰でない。三笘薫、古橋亨梧、浅野拓磨ら、左ウイングの候補者は多い。久保建英を左に置くこともできる。古橋と三笘が不在の今回は、結果が問われる2試合だった。サウジ戦の先制弾は、それだけに彼自身にとっても大きな価値を持つ。