■長友は存在価値を示した

 南野が左ウイングで起用される場合、タッチライン際のレーンは長友がカバーすることになる。中国戦は中央から右サイドでボールが循環することが多く、左サイドからの攻撃は限定的だった。

 この日は違った。遠藤航守田英正田中碧のスリーセンターのうち、主に田中が左サイドで落ち気味のポジションを取り、長友を前へ押し出す働きを担っていた。それによって左サイドへのボールの循環が、中国戦よりはっきりと多くなっていた。

 50分の2点目は、左サイドのペナルティエリア付近で長友が南野からパスを受け、相手にクリアされる寸前にゴール前へ蹴り出したクロスが伊東につながった。4試合連続弾となるスーパーボレーが決まったのだが、長友自身は「本当は(伊東へのパスを)狙っていないんですけど」と明かした。それでも、この日のパフォーマンスは周囲を納得させるものだった。前半からタイミング良く攻め上がり、守備でも穴を空けなかった。

 長友らの国内組にとって、今回の2試合はコンディション作りが難しかった。1月21日のウズベキスタン戦が中止となり、中国戦にぶっつけ本番で臨まなければならなかったからだ。そのなかで中国戦を大きなミスなくまとめ、サウジ戦ではさらにパフォーマンスを上げた。

 今回はホームの連戦で移動がなかった。そのぶん疲労の蓄積が抑えられ、なおかつ練習回数を多く持つことができた。条件が整っていたとも言えるが、長友は改めて存在価値を示した。

 懐疑的な視線を浴びることもあった南野と長友を先発で起用し、彼らがしっかりと結果を残した。森保監督にとっては満額回答で、3月の最終決戦2試合にもつながっていく。

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