■横浜FMが押し出した自慢のスピード

 川崎の失点パターンの多くは、そうではない形から生まれている。「個の力」でDFがはがされてしまうとか、あるいは1本の縦パスを通されてDFラインの裏を取られるといった、そんなパターンである。浦和レッズはカップ戦も含めて川崎相手に3試合連続で引き分けているが、ゴール前に早めにボールを入れて混戦を作ることで決めた得点が目立った。

 第42節の横浜FMは、右のエウベル、左の前田大然という両ウィンガーのスピードを徹底して生かしてきた。そして、裏を狙われ続けたことによって川崎の最終ラインが押し下げられてしまったのだ。パスがうまい川崎でも、さすがに最終ラインがあそこまで押し下げられた状態からではうまくパスをつなぐことは難しい。その結果、横浜FMが再び高い位置でボールを奪って川崎の裏を突くというパターンが繰り返された。

 もっとも、押し込まれた状態でありながらも無失点で切り抜けた、というよりほとんど決定機を作らせなかったあたりも川崎の強さを示している。

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