2020年のJ1は川崎フロンターレが2シーズン連続で制した。独走になった格好だが、最終節の横浜F・マリノスとの対戦では来シーズンのさらなる活性化へのヒントが見えた。現在の国内最高峰のバトルから、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■エキサイティングな内容を示す数字
2021年J1リーグ最終節(第38節)で、すでに優勝を決めていた川崎フロンターレと2位の横浜F・マリノスが対戦した。現在の日本サッカーのトップツーによる対決だ。
もっとも、川崎の優勝は早々に決まってしまっていたし、すでに横浜FMの2位も確定していた。一時は「最終節での優勝を懸けた直接対決」という期待もあっただけにちょっとさびしい気持ちもしたが、試合内容はトップ同士の対決に相応しい熱戦だった。
いや、「優勝争い」という“重圧”がなかった分、両チームがより積極的、攻撃的にプレーできたのかもしれない。そう思わせるほどの、エキサイティングなゲームだった。
たとえば、公式記録を見るとこの試合の直接FKの数は両チームとも7つずつ。つまり、ともに反則数が1桁だったわけだ。これは、Jリーグの平均より明らかに少ない数字だし、警告も後半の横浜FM渡辺皓太に対する1枚だけ。その結果、前半のアディショナルタイムは2分06秒。後半は4分24秒とかなり短かった。
これが現役最後のレフェリングとなる家本政明主審のコントロールのおかげでもあったのだろうが、やはり「優勝争い」というプレッシャーがかからない中で、互いに相手の良さをつぶすことより、自分たちのストロングな部分を出すことに徹することができたからではないだろうか。