■「一線を画す」セーフティースペース
さて、ターミナルを出ると、発展途上国ではお馴染みの光景が待っていました。タクシーの客引きです。
ところが、ここの客引きたちは、ラゴスの空港とは違って、勝手に客の腕をつかんだり、荷物に手をかけるようなことはしません。出口の前には、ちょうどペナルティーエリアくらいの四角いラインが書いてあって、客引きはこの中に入ってはいけないようです。スローインと同じように線を踏んでもいいらしく、皆がラインの上に立って手招きをしています。
その光景を見た時には、僕はホッとしました。「ああ、ここは良いところだ」。北部のハウサ人はほとんどがムスリム(イスラム教徒)です。イスラムの戒律をきちんと守っている人なら安心と言っていいかもしれません。
僕は、いちばん貫禄がありそうな客引き(というか、彼がドライバー)のタクシーに乗って新市街にあるセントラル・ホテルに向かいました。実際、カノの人たちは(ラゴスに比べると)慎ましやかな人が多いように感じました。