■特別な還元を期待されている選手
郷家には年長者としての還元が期待されていたが、パリ世代の中にも特別な還元を期待されている選手がいる。
東京ヴェルディから徳島ヴォルティスに移籍した藤田譲瑠チマは、リーグ戦では23試合に出場(スタメンは11試合)。苦しいチーム状況の中で不安定な起用となっているが、期待の大きさは変わっておらず、夏には東京五輪のトレーニングパートナーに選ばれた。
U-24代表と活動を共にし、7月12日のホンジュラス戦では出場機会も与えられた彼は、自分がこの世代の中心になるべきだということをはっきりと意識している。2019年のU-17ワールドカップに出場している藤田だが(※今回のチームでは、佐々木雅士、半田陸、畑大雅、田中聡も出場)、五輪に帯同して「ハーフタイムや試合前の要求の質や量がこのカテゴリーとは全然違う、と感じた」と衝撃を受けた。
今回の意気込みを「自分が伝えていかないといけないし、自分からどんどん要求を増やして、チームとしての考えをすり合わせていきたい」と語っていた彼は、その言葉通りに試合中もどんどん声を出していった。飲水タイムが設定されなかった試合で、選手たちはことあるごとにコミュニケーションを図ったが、積極的にそうする空気を作っていたのは藤田だった。