■全員の魂がこもった先制弾
崖っぷちとなった日本を救ったのは田中だった。誰もが欲しいと思っていた先制ゴールを初スタメンの田中が奪って見せた。8分、左サイドで守田からのパスを受けた南野拓実がドリブルで相手陣内へ侵入。切り返してからペナルティエリア左で右足のクロスを供給。ジャクソン・アーヴァインの足にボールが当たるも、アジズ・ベヒッチが憶測を誤りそのままファーサイドの田中のもとへ。田中はワントラップから右足のシュート。これがゴール左に決まり、日本が先制ゴールを奪った。
相手に当たり予測が難しいボール。田中の体は前に行っていたが、ボールの軌道を確認すると、田中は動きを止める。そして後ろに下がりながらボールをピタッと足元に止め右足を振り抜くと、ボールは綺麗にファーサイドへ吸い込まれた。田中の的確で迅速な判断と見事なトラップ力、そしてキック精度が光ったゴール。一瞬の判断でゴールまで持ち込める田中は凄かった。
田中のA代表初ゴールは崖っぷちの日本を救った。早い時間帯で欲しかった先制ゴール。選手、監督、スタッフ、そしてサポーター、日本サッカーを愛する全員の魂がこもったシュートだった。また、田中はゴール以外でも守備やパスで日本の勝利に貢献。初のスタメン起用だったが、落ち着いたプレーを見せた。これで、サウジアラビア戦で失点時のパスミス以外でもミスの目立った柴崎より、田中の代表チームにおける序列は上がっただろう。柴崎との世代交代の時期かもしれない。