■アンフィールドは今も闘将とともに

 ビル・シャンクリーはリバプールをイングランドのチャンピオンに、そしてやがて欧州チャンピオンになるまでに育て上げ、1981年に68歳という若さで亡くなった。彼の功績を後世に残すために、翌1982年、クラブはスタジアムの敷地内に彼の銅像を建てるとともに、入場門のひとつを「シャンクリート・ゲート」と名づけた。その門の上部には、「YOU‘LL NEVER WALK ALONE」の文字が浮き彫りにされた。

 2015年、スタジアムの大改装に伴い、この門は解体されて倉庫に収められていたが、翌年、改装工事完了とともに場所を移され、現在では「アンフィールドロード」というスタジアムの北側の道路に面し、バックスタンド側にはいっていく入場口として使われている。

 だがこの歌の最も大きな奇跡は、リバプールFCのサポーターたちの「専売特許」ではなかったことだ。ジェリー・アンド・ザ・ペースメイカーズの曲がヒットした直後から、スコットランドではセルティックのサポーターたちが歌い始めた。彼らが「自分たちのほうがリバプールのサポーターより先だ」と主張していることは、この連載の第74回「古橋亨梧のために セルティックについて知っておくべき8つのこと」でも少し触れた。私が1974年にドルトムントで聞いた「スコットランド代表版」の『ユール・ネバー・ウォーク・アローン』は、「セルティック版」でもあったのだ。

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