■川崎は試合過多から解放された
さて、その蔚山対川崎の“日韓首位対決”は本当に激しいバトルとなった。川崎は27試合で58得点、蔚山は28試合で46得点を決めるなど、どちらも攻撃力の高いチームなのだが、互いに激しい守備で対抗。攻めては守り、守っては攻めるという一進一退の攻防を120分間にわたって繰り広げたものの、最後までゴールは生まれなかった。
どちらかといえば、前半はホームの蔚山、後半は川崎が優勢のように見えたが、シュート数などの数字を見ても120分間ほぼ拮抗した内容で、一つもミスは許されないような、そして実際にほとんどミスが起こらなかった試合だった。
「互いにミスをしなければ0対0で終わるのがサッカーだ」というのは、昔のイタリアで言われた格言である。
夏の移籍期間に三笘薫と田中碧という攻撃の主役2人が海外移籍でチームを離れ、さらに谷口彰悟と車屋紳太郎という守備の要が相次いで故障して離脱するという苦しい状況の中で戦っている川崎にとっては今が試練の時だ。
しかし、試合に敗れたのはJ1リーグのアビスパ福岡戦の1敗だけ。その後、YBCルヴァンカップとACLでは浦和レッズと蔚山に次のラウンドへの進出を阻まれたわけだが、アウェーゴール・ルールとPK戦による敗退であって、どちらも試合に敗れたわけではない。2つのカップ戦を敗退したおかげで、試合過多の負担から解放された川崎にとってはリーグ戦に集中できる環境が整ったとも言える。今後の巻き返しに期待したい。