■広告看板が事故を招いたことも
広告看板は、観客の視野を遮ってはならないし、何よりプレーヤーに危険であってはならない。かつて浦和レッズのスピードスター岡野雅行がクロスを入れた後に勢い余って広告看板に激突したことがあったが、Jリーグでは、危険がないよう、タッチライン外もゴール裏も、ラインから広告看板を5メートル離すことを義務付けている。
2019年4月のJリーグ、ヴィッセル神戸対清水エスパルスで、左からゴールライン沿いにゴールエリアの中までドリブルで侵入した神戸のアンドレアス・イニエスタが、パスしてルーカス・ポドルスキーの得点を生み出すことに成功した直後、勢いを止められずにゴールのネット後方まで走り、そこにあった高さ数十センチの小さな山型の広告看板に乗り上げて滑り、バランスを崩してあわや大けがという出来事があった。これは「ゴール裏ミニ看板」と呼ばれるもので、Jリーグ自身が出していたので、重大なことにならず、Jリーグはほっと胸をなで下ろした。
「危険がない」といえば、ゴールラインのすぐ外、ラインからわずか1メートルのところに「立てられた」広告看板がある。といっても、メインスタンドの中央部、テレビ中継のメインカメラから見ると立っているように見えるだけで、実際には平面に印刷された広告がピッチ上に広げて置かれているだけ。目の錯覚を利用したもので、Jリーグではこれを「90°システム広告」と呼んでいる。