■磐田は攻守が噛み合ってJ1昇格圏へ浮上してきた

 首位の京都から2位の磐田を飛び越して、3位の新潟と4位の琉球に触れてきた。というのも、昨シーズン6位から2位に着ける磐田には、「歩幅広く順位を上げている」との表現が似合わないからだ。保有戦力から判断すれば、昨シーズンのうちに戦いの場をJ1へ移してもおかしくない。

 開幕当初は波に乗れなかった。琉球とFC町田ゼルビアに連敗し、水戸ホーリーホックと京都に連勝するも、レノファ山口FCに敗れてしまう。

 その山口戦を最後に、遠藤保仁が戦線離脱した。ところが、翌6節のファジアーノ岡山戦から4連勝を飾る。主砲ルキアンが4戦先発を記録し、チームを勢いに乗せた。

 6節の山口戦では、GKの交代があった。19年、20年はリーグ戦出場のなかった三浦龍輝が、八田直樹に代わってスタメンに抜てきされたのである。FC東京U-18育ちで在籍4年目の29歳は、山口戦から全試合に先発している。同時に、開幕当初は先発から外れることもあった伊藤洋輝、大卒ルーキーの森岡陸も最終ラインに定着し、チームは11節から22節まで12試合負けなしを記録した。14節から21節までの8連勝はJ2でのクラブ連勝記録であり、14節から20節までは7試合連続でクリーンシートを達成した。

 ロースコアの接戦をモノにできているのは、昨シーズンまでとの大きな違いだ。20年シーズンはわずか2試合だった1対0の勝利が、今シーズンはすでに6回ある。複数得点を記録して勝つことも大事だが、最少得点差の勝利もまた価値がある。「撃ち合いを制する」だけでなく、「守備力を強みに勝つ」こともできる体質改善が、今シーズンここまでの戦いで進んだと言えるだろう。

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