■「取れるけど取られる」から脱却した琉球
組織としての練度においては、4位の琉球に触れるべきだろう。
就任3年目を迎えた樋口靖洋監督のもとで、4-4-2または4-2-3-1を基本布陣とするポゼッションサッカーを構築してきた。シーズンごとに選手の入れ替わりはあるものの、サッカーの完成度は高まっている。
継続性を大切にしたチームの強化という意味では、昨シーズンの徳島ヴォルティスに近いチーム作りだ。徳島は選手を入れ替えながらチームの幹を太くしていき、就任4年目のリカルド・ロドリゲス監督(現浦和レッズ監督)のもとでJ1昇格を手繰り寄せた。
今シーズンの琉球がJ1昇格争いに加わっている要因には、ディフェンスの改善があげられる。
樋口体制初年度の19年は、リーグワーストの80失点を記録した。20年は61失点まで減らしたが、それでもリーグで6番目に多かった。点は取れるが取られるというのが、琉球の課題だった。
それが今シーズンは、23試合を終えて22失点である。リーグ最少7位タイだ。得失点差は新潟、京都に次ぐ3位タイだから、攻守のバランスが大幅に改善されたと言える。攻撃力をパワーアップしつつ、守備力の向上に成功したのだ。
中断直前の数試合は苦しんだ。開幕当初のスタメンからGK田口潤人、CB岡崎亮平、右SB田中恵太、左SB沼田圭悟が徐々に離脱していき、22節の相模原戦、23節の大宮戦は2試合連続で勝利を逃した。大宮戦では主将でボランチの上里一将も負傷交代した。18節までに6得点をあげていた池田廉も、腰椎横突起骨折で少なくとも9月中旬までは復帰できない見込みだ。
とりわけ、両SBの田中と沼田の早期復帰が待たれる。田中はリーグ2位の8アシストを記録しており、同7アシストの風間宏矢と組む右サイドは、琉球のストロングポイントとなっている。左SBの沼田はアシストこそ「2」に止まるものの、クロスの供給源となっている。FWの阿部拓馬と清水慎太郎、トップ下の池田らの決定力が生かされるのも、田中と沼田の存在があってこそだ。
中断期間には、両SB、CBでもプレーできる金井貢史がヴァンフォーレ甲府からかn。そして、久保建英世代のMF武田英寿も浦和レッズから育成型期限付き移籍で獲得した。ただ、琉球がJ1昇格争いに引き続き加わっていくには、主力が先発に戻ってくることが前提条件になる。