■不本意な3シーズンを経て新潟はいよいよ上位へ
3位のアルビレックス新潟は、アルベルト・プッチ・オルトネダ監督が就任2年目を迎えたことが大きい。スペイン人指揮官が推し進めるポゼッションサッカーを、ピッチ上で表現する時間が圧倒的に長くなっているのだ。18年のJ2降格後は16位、10位、11位と不本意な成績に終わっていたが、ようやくJ1昇格争いに加わってきた。
ここでもポイントとなっているのは補強だ。
9シーズンぶりに古巣に復帰したCB千葉和彦が、パートナーの舞行龍ジェームズとともに最後尾からのビルドアップを担っている。36歳になったこのベテランは、オンザボールの局面で判断を変えられる。プレッシャーを受けても、すぐに前方へ蹴り出したりしない。千葉が入ったことで、後方からのビルドアップが可能になったと言える。
右サイドバックの藤原奏哉の存在も大きい。ボランチでプロ入りした彼は、ポゼッションの局面で隠れない。内側のレーンでもしっかりボールに関われる。左サイドバックの堀米悠斗とともに、アルベルト監督のポジショナルプレーをワンランク上へ押し上げた。
前線の鈴木孝司、谷口海斗の補強も的確だった。鈴木は開幕から7節までに4ゴールを奪い、チームに勢いをもたらした。鈴木の負傷離脱後に先発起用が増えた谷口は、高木善朗に次ぐ8得点を奪っている。新加入のストライカーふたりで合計12得点を記録しているのだから、期待どおりの働きと言っていいだろう。
18年にJ2へ降格してからの新潟は、J1経験者とブラジル人選手を中心にチームを作ってきた。その間にも若手と中堅の有望株を引き抜かれ、今シーズンも渡邉新太がJ1の大分トリニータへ移籍した。しかし、前述した千葉と藤原に加えて鈴木と谷口、ボランチの高宇洋らが即戦力として加わった。外国籍選手も昨シーズン後に取捨選択がなされ、アルベルト監督のもとに必要なピースが揃った印象だ。
開幕からの不敗記録が途切れた14節以降は、3勝3分4敗とペースダウンした。序盤戦に得点とアシストを量産した高木や本間至恩への警戒が厳しくなったことが主因で、15節の京都戦、21節の磐田戦で敗れてしまった。23節に巡ってきた京都との再戦も、アウェイで1対1のドローに終わっている。
それでも、アルベルト監督のサッカーにはブレがない。自分たちで主導権を握るスタイルで、後半戦も戦っていくはずだ。組織としての練度にさらに磨きをかけながら、個々がクオリティを上げていくことで、J1昇格への道が開けていくだろう。