■「手ぶらで終わってない」「多くを学べたね」
大住「それは、彼にとってもすごく大きいと思う。頭も足も動かないような状態から、自分の中の新しい力を引き出した。ああいう経験はすごく大きい」
後藤「将来にいつかそれが役に立つ」
―そうすれば“手ぶら”じゃないですね?
後藤「手ぶらじゃないよ。メダルがなかっただけで、いろんなものを貰った大会だった」
大住「しかも、久保は3点も決めているし」
後藤「久保だけでなくて、このチームにとっても本当に素晴らしい経験だった。スペインのような、ヨーロッパのあれだけのチームが、本気で日本と戦ってくれた。それには感謝しないとね。フランスみたいに、いいかげんなチームを相手に4点を取って、すごいすごいって大会を終わっちゃったら、何も得るものはなかった。A代表並みのメンバーのスペインが、あれだけ本気で戦ってくれたのが、本当に良かった」
大住「そしてそれが実現できたのは、その前のニュージーランド戦で、うまくいかない中で何とか次に繋いだ成果だけどね」
後藤「メキシコ戦でもキーパーの谷晃生があのPKを止めてくれたらな……そしたら、1968年のメキシコオリンピックの横山謙三さんのPKストップと同じ展開だなって思っていたんだけど」