■相馬の起用は「メキシコのキーマン」ライネス封じ

 森保一監督が選んだこの試合のスタメンには、2列目の左サイドに相馬勇紀が入っていました。南アフリカ戦から唯一の入れ替えとなった彼の起用は、メキシコのキーマンであるライネスを「ゲームから追い出す」ことが狙いだったと思います。自由にすればかなり危険な選手となるライネスを、左サイドバックの中山雄太と相馬で消す、という目論みです。

 相馬はサイドハーフが本職ですが、ウイングバックもできる選手で、今大会のサイドハーフのなかでは守備力も評価されています。勤勉に前プレスや牽制、プレスバックができるし、忠実にマーキングができるので、中山がライネスの前をふさぎ、相馬がふたをする。ライネスが横へ逃げたら、ダブルボランチの遠藤航と田中のどちらかが対応と、三段階の守備で自由を奪うイメージだったと思われます。

 ライネスはかなり個人能力が高かったので、数回危険な突破をされることもありましたが、決定的なシーンをほぼ作らせずに後半途中で交代に追いやることができました。戦前の森保監督の目論みは、おおむね成功したのではないかと思います。

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