【メキシコ戦、中村憲剛解説(1)】難敵撃破のカギは「背後へのランニング」!受け手と出し手の「いつ」が合った素晴らしいプレー【東京五輪】の画像
堂安律   写真:エンリコ/アフロスポーツ

 電光石火の連続ゴールで、グループリーグ最大の敵を撃破した。

  7月25日に行なわれた東京五輪のグループステージ第2節メキシコ戦で、日本は12分までに2点のリードを奪い、メキシコの反撃を1点に抑えて2対1の勝利をつかんだ。

 2連勝で勝点6としたこの一戦を、南アフリカ戦に続いて中村憲剛さんに分析してもらう。サッカー批評Webでは東京五輪の日本代表の全試合を、川崎フロンターレと日本代表で一時代を築いた中村さんの解説でお届けする。

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 メキシコ戦のポイントは、「相手最終ラインの背後へのランニング」でした。

 まずは6分の1点目です。堂安律がワンタッチで入れたマイナス方向へのクロスを、走り込んだ久保建英がしっかり決めました。素晴らしい得点でしたが、そのクロスを入れる前の動きがポイントとしてあげた「背後へのランニング」です。

 右サイドバック酒井宏樹がパスを受けた瞬間に、相手左サイドバックの内側にポジションを取っていた堂安が、そこから背後のスペースへ良いタイミングでランニングし、そのタイミングに合わせて堂安がスピードを落とさずにすむパスを出した酒井も見事でした。

 後半途中に相手CBを退場に追い込んだ場面も、堂安の背後へのランニングが田中碧の裏へのパスを引き出したことがきっかけでした。ビルドアップで吉田麻也から田中へつなぎ、田中が前を向いた瞬間のタイミングの良いランニングが素晴らしかったですね。

 事前のスカウティングでメキシコの守備陣の前への強さと、背後への対応に難があることを頭に入れたなかで試合に臨み、試合中の肌感覚でそれを感じた彼らは、意図的に背後へのランニングを狙っているように見えました。いずれのプレーも南アフリカ戦で話をした、受け手と出し手の「いつ」が合った素晴らしいプレーでした。

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