【東京オリンピック直前の激論】 大住良之×後藤健生(3)「2列目の問題は久保建英と堂安律のプレー比率」「冨安健洋、ワールドクラスの証明」の画像
冨安健洋は流石の守備を見せた U24日本代表対スペイン代表戦(20210717) 撮影/原壮史
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東京オリンピック本番。サッカーは7月21日に女子のなでしこジャパン、22日に男子のU―24五輪代表が緒戦を迎える。最後のテストマッチとなる7月17日のスペイン戦終了直後の深夜に、取材歴50年のベテランジャーナリストの大住良之、後藤健生の2人が、ぞんぶんに語り合ったーー。

■「冨安は本当にすごかった」

大住「2012年のロンドン・オリンピックで最初の試合の対戦相手がスペインだったんだよね、あの時は1-0で勝ったんだけど。勝っただけじゃなくて、1-0で迎えた後半も、永井謙佑のスピードを活かしてバシバシとチャンスを作って、3、4点を奪ってもおかしくない試合運びだった。

 でも、その時のスペインと日本の力の差というのは、今回の試合よりもずっと大きかった。もちろんスペイン自体も、その時よりも今回のチームのほうが、はるかに成熟した選手が揃っているし強いんだけど、それに対して日本は、前半30分までのような試合運びではなくて、もうちょっとしっかりした試合をしてほしかった。あの時間帯まで日本はミスも多かったしね」

―では大住さん、17日の試合の収穫は何でしょうか?

大住「収穫ね……冨安健洋はワールドクラスの選手だなって分かったこと?」

後藤「ははは。今日の冨安はすごかったよね。守っているわけではないし、パスも出したし、さらに自分でドリブルをして、どんどん持っていくんだもん」

大住「インターセプトも強いし。あと、酒井宏樹も強いね。相手と1対2になって、オーバーラップするサイドバックに出させておいて、そこで防いじゃうんだよね」

後藤「39分ね」

大住「あのプレーはすごかったよね」

後藤「どうすんのかな、って思ったらピシッと反応したもんね」

大住「ドリブルしてきたのがダニ・オルモで、オーバーラップしてきたフアン・ミランダだっけ?それで見事に、フアン・ミランダのクロスを止めたよね」

後藤「ダニ・オルモはユーロに出ているからね」

大住「それを手玉に取るのがすごいよね。自分の思い描いた流れに持って行った。あれは本当にすごかった。だから、酒井に吉田麻也、冨安。あと、もうひとりは、どういう試合をするかにによって、旗手怜央だったり中山雄太だったりになると思うんだけど。このディフェンスラインの安定度の高さ」

後藤「その前には遠藤航もいるしさ」

大住「そう。遠藤と組むのが田中碧であっても、板倉滉であっても見劣りはしないし。この後ろの6人の堅牢さが本大会の大きな力になる」

後藤「それを今日は証明する試合だったよね。今までの相手だと、そこまで必要がないように感じてしまうくらいの実力差があったけど。今日は相手もしっかりと強かったし」

大住「今日の相手は、ディフェンスラインに来た時に、良い体勢でボールを受けているんだよね。今までの相手は、その時点でいっぱいいっぱいのパスになって、日本は楽にボールを奪えていた。スペインはそうではなかった。MFがうまく引きつけてからタイミングを逃さず出すから、FWたちはほぼフリーでボールを受けていた。でも日本のDFはそこをきちっと読んで、反応も早くて、全部のボールを取っていたからね。それはすごいよ。あの6人のセットが、たくさんの試合で、長い時間プレーしてくれたらいいなと思う」

後藤「それが、A代表の強化に繋がるしね」

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