■「飲水タイムを過ぎたあたりからチャンスがきた」
―まずは、五輪本大会直前のテストマッチとなった、7月17日のスペイン戦から話しましょう。堂安律のゴールには驚きました。
大住「本当だよね。ゴールの予感はしなかったね、なかなかシュートに持っていけない試合だった。その前のプレーで、久保建英が無理矢理に打ってブロックされていたけど」
後藤「あと、その前に林大地が良いシュートを打ったよね」
大住「ああ、そうだったね」
後藤「遠藤航の見事なくさびに反応して。それに、コーナーキックから板倉滉がヘディングしたのも、ゴールをかすめたし。途中までは全然だったけど、あのあたりの時間からチャンスらしいチャンスが出てきた」
―30分を超えたあたりですか?
後藤「そうそう。飲水タイムを過ぎたあたりからね」
―しかし、それにしても堂安のゴールは気配がしなかったと言うか……
大住「うん。あのとき、久保は堂安に出したのかな?よくわからないけど、あのパスを相馬勇紀が一生懸命に追っかけていたよね?」
後藤「そうそう。ただ、あの角度なら、久保は堂安が来るのは見えていたでしょ」
大住「簡単なシュートじゃないけど、軽々と決めるよね」
―堂安は、12日のホンジュラス戦とスペイン戦で目立っていましたね。
大住「6月の試合から、堂安は飛びぬけていたよね」
後藤「彼は安定感があるよね」
大住「いつも高いレベルのプレーができているんだ」
後藤「むしろ、スペイン戦はゴールの場面までは出来が悪いくらいだった。今日なんかは、ちょっとコントロールに時間がかかっちゃってたね」
大住「プレーの回数が少なかった。グラウンドがちょっと柔らかかった気がする」
後藤「今日は相当ね……。スペインの選手も一生懸命に芝を直していたし」
大住「今回の国際試合3試合は、グラウンドがあまり良くなかった。ヨドコウ桜スタジアムも良くなかったし、京都のサンガスタジアムも。天候がずっと悪かったから、きびしいよね?」
―湿気はどうでした?
後藤「湿気もあったし、なにより風がなかったのがつらいよね。スタジアムの構造もあるけど」
大住「暑さは慣れるまでが大変だよね。あの中で走れるようになるのは、かなり……日本の選手は得意かと思ったけど、やっぱり、急にああいう環境になると難しいよね」
後藤「ちょっとね」
―それもあってか、キックオフから日本のプレスが全然ききませんでした。
後藤「きかないと言うか、スペインが上手いからプレスをかけてもかわされちゃう。普通の相手だと、あれでミスをしてくれるんだけどね。さすがスペインだよ」
大住「全然レベルが違うよね」
後藤「行くとかわされちゃうからね」
大住「やはり、日本の生命線は前線からのプレスだと思うし、それが1試合でどのくらい長い時間できるかが大事なんだけど、日本が最高の状態でプレスをかけようとしても、スペインからは取るのはなかなか難しかったね。
それで結局は最後のところの、吉田麻也、冨安健洋で取るしかなくて、それからの組み立てだとゴールまでは行くのはなかなか難しかった」
後藤「だから、プレスをかけるにしても、そこで奪おうとか、あるいは相手のミスを誘発しようというのではなくて、最初からコースを限定しようというくらいで、最初から行かないと。下手に行くと、かえって、かわされてピンチになっちゃうからね」
大住「そうだよね。まあ、やっていると思うんだけど。前半は特に、ディフェンスラインのバランスが良くて、距離感も良かったし」
後藤「さすがだよね」