Jで最も見るべき選手「浦和の小泉佳穂」(2) 親友・坂元達裕との切磋琢磨の画像
小泉佳穂 浦和レッズ対アビスパ福岡(埼玉スタジアム)2021年6月27日 撮影/中地拓也
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その小柄で金髪の選手は、Jリーグでも希有なプレースタイルの持ち主だ。完全な左右両利きなのだ。豊富な運動量でピッチのあちこちに顔を出してボールを受けてはさばき、左右両足から繰り出す長短のパスを自在に操ってチャンスを演出する。小泉佳穂はめざましい活躍によって、2021シーズン躍進を見せる浦和レッズの攻撃サッカーの欠かせない重要なピースとなった。日本代表でその奮闘を見る日もそう遠くはないだろう――。

FC東京U-15から前橋育英高校へ

 きっかけは小学校低学年のころだった。父親から「両足を使えるようにしなさい」とアドバイスされ、それから一生懸命に練習したという。キックの練習をするときには必ず両足同じ回数をするようにし、中学生時代には左足と右足の比率が3対2になるよう、意識的に練習した。シュート練習では、2対1ぐらいだったという。

 だが、トレーニングでできるのは、釜本やペレの左足までだろう。プレーのスタイルまでが左利きになってしまう小泉には、何か脳の回路に特別なものがあるのではないだろうか。そうとしか思えない。

 小泉は東京の練馬区で生まれ育ち、光が丘KID SCからFC東京のU-15むさしでプレーした。しかしFC東京ではユース昇格はかなわず、群馬県の前橋育英高校から青山学院大学を経て2019年にJ2のFC琉球でプロとなった。そして2年目の2020年に36試合に出場して6得点という活躍を見せた。現在浦和の監督を務めているロドリゲスは昨年までJ2の徳島ヴォルティスの監督を務めていたが、対戦したときに強い印象を抱き、ことし浦和の監督に就任するに当たって小泉の獲得を希望したという。

 1996年10月5日生まれ。まだ24歳の小泉だが、そのサッカー人生は順風満帆どころか、挫折だらけだったらしい。FC東京のU-15にははいったが、中学生になっても背が伸びるのが遅く、なかなか芽が出なかった。救いになったのは、前橋育英高校への進学だった。

 全国屈指の強豪校で、小泉が3年生のときには全国高校選手権で準優勝を飾ったほどだが、「小さくても、やり方次第で活躍できる」と励ましてくれたコーチの言葉に勇気を得て、部員が180人もいるなか、2年生のときから試合に出られるようになった。

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