■三笘と田中のロス

 田中は中盤や最終ラインからボールを引き出し、そこから散らしたり縦につけることができる選手だ。しかも、スペースの狭さもあまり気にしない。さらに、ボールを奪われた場面ではいち早く守備に戻る。その田中が不在だったことが、柏戦の苦戦からは感じられた。日立台で、川崎のパスワークがいつものようには機能しなかった。“田中がいればここで受けて……”と感じてしまう場面が何度かあった。

 この試合に関していえば、三笘と田中の“ロス”を感じる場面があった。しかし、ここまで圧倒的な強さを見せつけてきた川崎だ。主力選手の入れ替えも、試合を重ねていくうちにきっと解決するだろう。13日には、ブラジル人FWマルシーニョの加入を発表。ウイングを主戦場とするドリブラーの獲得は、三笘がいなくなったウイングの選択肢を増やすことができる。

 五輪組でチームに唯一残って柏戦に出場した旗手は、5本のシュートを放つなど積極的なプレーを見せた。この試合では決めることはできなかったものの、2年目の旗手の今後の成長もチームに新たな力をもたらす。

 次節は18日の天皇杯を挟んでの、21日の広島戦。試合の中で修正をしては白星を掴んできた川崎にとって、試合はチーム強化の何よりの種となる。この過渡を、チームがさらに強くなるためのとっておきの時間にしてみせる。

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