■J1リーグ優勝が狙える戦力に
そんな中で川崎フロンターレは4年間で3度タイトルを獲得し、今シーズンはJ1連覇に向けてひた走っている。川崎になぜそれが可能だったのか。
一つは、彼らが目指すパス・サッカーというものを突き詰めたからだ。相手に分かっていても、相手に対策を講じられても、それでもパスの精度を上げ、パススピードを上げることによって、川崎は相手の守備をこじ開けることに成功している。同時に、かつては短いパスをつなぐのが特徴だった川崎は、今ではスペースを使ったロングカウンターや、トップへ鋭いくさびのパスなど、攻撃の幅を大きく広げ、選択肢を増やしている。
リカルド・ロドリゲス監督の浦和は、今はまだその片鱗を見せ始めているところだ。
ユンカーや小泉のトップという大きな武器も、まだ相手に対策を講じられると不発に終わってしまうこともある。その武器をさらに磨いてどんな守備に対しても突破できるまで精度とスピードを上げていくこと。同時に、トップがケアされたときにはサイドバックの攻撃参加を使い、それが封じられたらさらにプランCといったように、攻撃の幅を広げていくことも必要になる。
8月に入れば、日本代表の不動の右サイドバック酒井宏樹や柏レイソルから電撃移籍の江坂任、さらにユンカーと同じデンマーク出身のDF(センターバック)アレクサンダー・ショルツも戦力として加わってくる。選手層はますます厚くなり、また、戦い方の幅も広がっていくはず。
すべてが噛み合ってくれば、当然、J1リーグ優勝を狙えるだけのチームが完成するはずだ。しばらくは、チームの成長を楽しみたい。