戦術家リカルド・ロドリゲスは、ピッチの上でどんなサッカーを表現しようとしているのだろうか。浦和レッズの戦いを、J1リーグ第18節湘南ベルマーレ戦、第19節柏レイソル戦、第20節アビスパ福岡戦、第21節ベガルタ仙台戦と追った。現時点で、目指すものはどこまで実現できているのか。そこに何を加え、どこに向かおうとしているのだろう。浦和レッズの近未来を占う――。
■無得点に抑えられたベガルタ仙台戦
こうして柏戦、福岡戦をともに2対0でものにした浦和は、第21節はベガルタ仙台とのアウェーゲームに臨んだ。今回は中5日という時間があったので、メンバー的には福岡戦をベースにしたもので、先発では岩波に代わってトーマス・デン、大久保に代わって汰木が起用された。やはり、今の時点ではロドリゲス監督にとって、湘南戦や福岡戦のメンバーが“主力”なのだろう。
この試合でもアウェーの浦和は主導権を握り、シュート10本を放ち、また決定機もあったが、仙台の守護神ヤクブ・スウォビィクの素晴らしいセービングがあって、無得点に抑えられた。
今回は、浦和レッズの直近の4試合を振り返って、浦和の現在地を探ってみた。
僕は4試合中で最高のパフォーマンスが見られたのは敗れた湘南戦だったように思うが、このあたりは評価の分かれるところだろう。いずれにしても湘南戦のメンバー、つまり今シーズン新たに加入した“新戦力”組が現在の浦和の中心となっている。
そして、類稀なる決定力を持つユンカーとテクニシャンタイプのトップ下の小泉の2人がターゲットになってパスを受けることで攻撃の形が作られる。そして、両サイドバックの西と明本がオーバーラップ、インナーラップを使い分けてチャンスメークからフィニッシュにまで関わっていくというのが今の浦和の戦い方だ。
その目指すところははっきりと見えているし、またかなりの部分はすでにピッチ上で実現できている。
だが、この直近の4試合の結果は2勝1分1敗。それが現実なのだ。
前にも述べたように、Jリーグというのは戦術的に「相手の良さ」を消してくるチームが多い。第20節で対戦した福岡はユンカーや小泉にパスが入るのをしっかりと消してきたし、柏や仙台は浦和がパスをつないでビルドアップしようとしているのを見て、高い位置でのパスカットを試みてきた。
一つの武器だけでは勝ち抜けないのがJリーグというコンペティションなのだ。
たとえば、2019年にあれだけの強さを発揮して優勝した横浜F・マリノスは、2020年シーズンには相手に研究しつくされて失速してしまった(今シーズンは、サイドバックの攻撃参加などを微調整して、再び優勝戦線に顔を出している)。