■一時的に4-4-2を使ったことはあるが
この試合では、たしかに川崎にパスミスが多かった。正確には、パスの出し手と受け手の呼吸が合わずにボールを失うケースが見られた、というべきかもしれない。特に山根視来の部分でボールをロストすることが多かったが、山根はこのチームで替えの利かない選手の一人で、ここまで全試合フル出場している。今年は日本代表にも初めて選出されて試合に出ており、疲労が溜まっていると考えるのが妥当だ。
仙台は中2日でアウェイ連戦、川崎は中3日。今後もこのような展開は間違いなくあり得る。リズムを作れずに得点を奪えない時間が長期化すれば、逆に、相手チームがその前がかりになった部分を突いてくる可能性もある。
そして、仙台戦で浮き彫りになったのが、川崎の土壇場で相手を跳ね返す力と、さらに勝ち越すパワープレーの必要性だ。川崎は名古屋戦や広島戦の途中で4-4-2を一時的に用いたことがあったものの、基本形は4-3-3。中盤の「3」はアンカー+2インサイドハーフという構成だ。守備固めをするときの布陣、あるいは、終盤にパワープレーで点をもぎ取るという経験はしていない。逆に言えばそれほど強いということだが、慣れない環境で慣れない相手と戦うACLでは、必ずしもリーグのように無双できるとは限らない。
仙台戦でも、勝ち越しを狙う場面や追加点を奪いにいく場面で、そうした力強さを見せることはできなかった。人とボールが動くサッカー以外のもう一つのオプションを、ACLまでに用意しておくことが必要かもしれない。