◼︎5シーズンぶりのFKゴールに「蹴った瞬間に入ったなと」

 39歳のベテランは健在。後半30分、キャプテンの阿部がゴール正面から右足でFKを直接狙い、芸術的なゴールを決めた。FKが決まると、渾身のガッツポーズ。試合を決定づけた。

 阿部は、4月25日に行われたリーグ戦・大分戦で、平川忠亮氏を抜いて、クラブ史上最年長出場記録を達成したばかり。この試合でも、頼りになるベテランが追加点を決めて、チームは2-0で勝利をおさめた。

 試合後、阿部は「蹴った瞬間、”入ったな”と思いました」と、FKでの追加点のシーンを振り返った。阿部のJ1での直接FKのゴールは、2018年8月19日に行われた、アウェーの清水戦(3-3)以来となる。自身にとってはFKでのゴールは通算11点目。これはJ1通算の直接FKの得点ランキングにおいて、歴代単独8位となる。内訳は、市原時代を含むジェフ千葉在籍時に6点、浦和では5点目。ホームの埼玉スタジアムでの直接FKゴールは、2-0で勝った2016年7月9日の柏戦以来、5シーズンぶりのFK弾となった。

 試合中には、この試合でリーグ戦デビューとなった18歳のGK鈴木へ声掛けを行ったりと、キャプテンとしてチームを鼓舞した。試合後、「しっかり勝つことができて、失点も0で勝てたことが良かったです」と、サポーターの声援に応えた。

 浦和は直近のリーグ戦においては、ボールを握る時間は相手より大きく上回るものの、ゴールに結びつけられず、無得点に終わることも多かった。逆に相手に少ないチャンスを決められて敗れる試合もあり、リカルド・ロドリゲス監督も以前から「押し込んだ後のゴール前の精度を求めたい」と、再三、チームに訴えてきた。

 この試合でも、浦和は前半からなかなか攻撃の形を作ることができず、ミスが続いたり、相手の猛攻に苦しむ時間帯もあった。それでも、新加入のユンカーが少ない決定機を仕留め、阿部のFKからセットプレーで追加点を奪えたことは、チームにとっても好材料だった。

 2-0で勝利した浦和は、勝ち点を20に伸ばし、順位も8位に浮上した。直近の公式戦で白星から遠ざかっていた浦和だが、4試合ぶりの勝利となり、ホーム開催のリーグ戦においては4連勝となった。存在感を示し続ける39歳の阿部。彼のセットプレーでのゴールは、チームの新たな武器になり得る。

 

■試合結果

浦和レッズ 2-0 ベガルタ仙台

 

■得点

58分 キャスパー・ユンカー(浦和レッズ)

75分 阿部勇樹(浦和レッズ)

PHOTO GALLERY 浦和対仙台でのユンカー、阿部、鈴木彩艶の雄姿(2021年5月10日)
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