■「ごっつぁんゴールを決められるFW」の価値

 そして、「点を取る感覚」に目覚めたFW、つまり「ごっつぁんゴール」を決めることのできるFWというのは、チームにとってはじつに貴重な存在だ。

 FC東京相手の勝利によって、横浜FMは7勝3分1敗で勝点24に到達した。首位に立つ川崎フロンターレとは11ポイントもの大差があるが、これは見かけ上のもので横浜は川崎や名古屋グランパスサガン鳥栖より消化試合が少ないことを考えれば、実質的に2位の名古屋(9勝2分2敗、勝点29)と並んでいるといっていい。

 開幕戦で川崎に0対2で敗れて以来10戦負けなし。下位に低迷する湘南ベルマーレやベガルタ仙台が相手の引き分けという取りこぼしはあったものの、4月の後半以降は横浜ダービーに続いて、ルヴァンカップでの仙台相手の5得点をはさんで、FC東京相手にも3ゴールを決め、得点力が上がってきており、今後は取りこぼしも少なくなってくることだろう。

■戻りつつある、優勝シーズンの強力な攻撃力

 横浜FMは2月26日のJ1リーグ開幕戦では川崎相手に0対2の完敗を喫した。
 後半こそやや盛り返す時間帯もあったものの、前半は川崎に完全にゲームを支配され、21分と43分に家長昭博に決められてしまったものだ。4月29日の名古屋戦でもそうだったが、川崎フロンターレというチームは強豪相手の大事な試合では集中力を高めて前半から一気に相手を圧倒することがうまい。

 しかし、川崎に完敗した当時の横浜FMの戦力は、現在とは大きく異なっていた。

 開幕戦で川崎と対戦した時には攻撃の中心であるマルコス・ジュニオールは戦線を離脱していたし、期待の新外国人エウベルも故障中でまだJリーグ・デビューを飾っていなかったのだ。

PHOTO GALLERY FC東京対横浜F・マリノスの写真 20210501
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