■鬼木監督「反省しなくてはならない」

 名古屋が2点を返したことで、試合の行方は分からなくなった。1点差にした段階で、残り時間は7分+アディショナルタイム。しかもアディショナルタイムは5分あったから、時間的に追いつくことは可能だった。さらに、川崎のパスワークが徐々に狂いはじめ、なかなかつながらない状態になる。名古屋としては、そうしたボールを絡め取って得意の速攻に転じやすい環境が整った。結局それ以上の失点をしなかったことで川崎は逃げ切ったが、名古屋が追いついてもおかしくない展開ではあった。

 ここ数試合、川崎の後半の戦い方“には魔物が住んでいる。それまで見せていたリズムが悪くなり、ボールの奪還までにとても時間がかかる。また、選手個々のドリブルも成功率が低くなる。追いつかれた広島戦しかり、福岡戦や鳥栖戦もらしくない時間帯を過ごすことが多かった。

 そしてこの名古屋戦で鬼木達監督は、自ら「その辺りは自分が反省しなくてはならない」と話したように、交代カードの切り方に課題があったとしている。レアンドロ・ダミアン家長昭博を交代で下げたことで、「緩みを出すことにつながった」というのだ。

 そうして生み出された名古屋のペースを修正するために、塚川孝輝の投入とともにシステムを変更。4-3-3から4-2-3-1にした。この狙いはアンカー部分を1枚から2枚に増やすことで、バイタルエリアのスペースを消すことにあった。ピッチに入った塚川は、鬼木監督からの指示を手振りを使って伝えた。

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