■川崎とそれ以外のチームとでは平均失点数は14倍
前半はその1失点で済んだものの、後半に入ってさらに失点を重ねる。50分、山根視来に追加点を奪われると、名古屋守備陣に動揺があったのかオウンゴールまで重ねてしまう。DF丸山祐市がGKランゲラックに戻したボールが、そのままゴールに入ってしまったのだ。堅守を誇りとしたチームのまさかのミスは、悲痛さすら感じさせた。
勝たなければいけない試合で3失点。2戦合計で7失点を喫してしまった。1試合平均失点数「0.25」が、川崎を相手にすれば「3.5」と14倍という数字である。“最強の盾”は、“最強の矛”の前になすすべがなかった。初戦がベンチスタートで第2戦で先発したDF中谷進之介は、試合後にこう振り絞った。
「積み上げてきたもの、が川崎フロンターレには通用しなかったということ」
「レベル的にまだまだ足りない」
「自分たちの特長がそこ(堅守)にあるのに、(2戦合計で)7失点してしまったことに守備者としての責任をすごく感じる」
繰り返しになるが、「堅守」をアイデンティティとしてきたチームが、そのコンセプトを完全に粉砕されたのだ。名古屋の守備はとてもオーガナイズされていて、容易に崩すことはできない。ただし、川崎フロンターレが相手では、守り切ることができない。それどころか、手も足も出ない。積み上げてきたものの限界を知るゴールデンウイークとなってしまったのだ。