■崩すシステムがなかった名古屋

 さらに、守備が崩されると攻撃でも課題があることを改めて知らされた試合でもあった。後半に入って名古屋は前に行く機会が増えた。そこで、ブロックを組んだ川崎の守りを崩そうとしたが、今の名古屋には遅攻のシステムは備わっていない。川崎は「1試合3得点」をノルマにして、相手が固めた守備を崩すトレーニングを重ね、さらに実戦でそれを培ってきた。

 しかし、名古屋の攻撃のメインはカウンターだ。他の堅守速攻のチームよりはボールを回すことに優れてはいるものの、相手は王者・川崎だ。攻撃だけでなく守備もしっかりと構築されている相手を崩すことはできない。川崎を相手に名古屋が返した2点は、1つがカウンター気味のもので、もう1つがマテウスのフリーキックという個人技。それが、限界なのだ。

 わずか6日で、赤鯱軍団が積み上げたものは水泡と帰した。その精神的ダメージは、周囲が思う以上に大きい可能性がある。それでも、名古屋の最大の武器は堅守に変わりなく、今季はそれを武器に戦い抜くべきだろう。何より、勝ち点差が9に開いたとはいえ優勝の可能性がなくなったわけではない。


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