■開始早々の失点で負けるのはこれが2回目

 それでも、名古屋には昨季から積み上げた堅守という武器があるはずだった。川崎戦の前まで、12試合を消化して3失点。1試合平均にすれば「0.25」という異常な低さの失点数で、首位・川崎を相手に、昨年のホーム戦同様の完封勝利をゲームプランとしていた。得点を奪えないうちに川崎が焦れ、バランスを崩し、そこをカウンターで仕留めるというものだ。オーガナイズされた守備と経験があるからこそのプランだった。

 しかし、その思惑はわずか3分で崩れる。戦線離脱からこの試合で復帰した川崎の旗手怜央に、強烈なシュートを見舞われ、先制点を決められてしまったのだ。開始早々、名古屋が経験しなかった事態に見舞われ、その後、立て続けに失点してしまう。先制点の動揺が如実に表れたような時間だった。

 名古屋の今季の黒星はこれで2つ目。1つ目は、4月18日のホーム鳥栖戦だ。この試合でも、開始わずか6分で失点。前半に追加点を奪われ、後半の終了間際に稲垣祥のゴールで1点差としたが、時すでに遅しだった。いずれにせよ、開始早々に失点した2試合はどちらも黒星を喫したことになる。

 実は川崎は、この鳥栖戦の再現を狙ってかどうか、試合開始時点から名古屋ゴールを狙いにいっていた。川崎が用いるシステムは4-3-3。いつも通りのシステムで、選手の配置も中央にレアンドロ・ダミアン、右に家長昭博、左に三笘薫というものだった。しかし、三笘のポジションはそのままに家長が左に流れ、片方のサイドに人数を割いて崩しの作業を行ったのだ。

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