■サイド攻撃を彩る役者は揃った

 一方、横浜Fマリノスの4-3-3は相手陣地でボールを握ってゴールを量産する“アタッキングフットボール”がコンセプトにある。ボールをとことん保持し、最後はクロスから相手ゴールを陥れる。アンジェ・ポテスコグルー監督の練習の中で、サイドからクロスを上げて中の選手がコンビを組みながらするシュート練習に多くの時間を割くのは、そのためだ。

 現在8得点を奪って得点ランク2位の前田大然、強さを持つオナイウ阿道、ドリブラー・エウベルに水沼宏太、さらに、デビュー戦で早くも得点を決めたレオ・セアラ。強力な特徴を持つ前線の選手が、次々とゴールを奪う。FC東京戦を前に、チームが奪ったゴールは10試合で20。1試合平均2得点は、川崎フロンターレに次ぐ数字だ。

 ただし、サイドからのクロス攻撃という形に最後に持って行くチームの絶対的な形は、時に単調さを生む。そのため、ルヴァン杯・仙台戦ではブロックを組むリーグ戦で未勝利のチームに対して無得点という結果に終わってしまった。前線に強力な個を並べても、必ずしも得点できるわけではないのがサッカーの難しさだ。

 そんなマリノスで、違いを生み出すのがトップ下に入るMFマルコス・ジュニオールだ。10番を背負うこのブラジル人は、ボールを自在に操り、相手選手を引き付け、意表を突くボールを供給する。仙台戦ではこのファンタジスタを欠いていたが、すでに戦線に復帰している。すでにリーグ戦デビューしたレオ・セアラも含め、FC東京を圧倒する役者は揃った。
 

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