■仙台浮沈のカギを握るボランチ
手倉森誠監督が8年ぶりに復帰したベガルタ仙台は、17位に沈んだ昨シーズンからの巻き返しが期待された。ところが、開幕からいまだ勝利をつかむことができず、3分6敗の勝点3で19位に沈んでいる。
苦しむチームのなかで、指揮官が頼りにするのが上原力也だ。ここまで全試合にスタメン出場し、フィールドプレーヤーでは最長の出場時間を記録している。
ジュビロ磐田からの期限付き移籍である。アカデミー出身の彼は、クラブを背負うひとりとして期待される存在だ。しかし、昨シーズン途中に遠藤保仁が磐田入りすると、ボランチの序列で先発から押し出される格好となった。このため、遠藤が引き続き期限付き移籍する今シーズンは、仙台に新天地を求めることとなった。J1への個人昇格というよりも、自らの存在価値を証明するための期限付き移籍である。
開幕節からダブルボランチの一角を担っている。選手交代に伴ってトップ下に入ることもあり、どちらのポジションでもビルドアップから最終的な崩しにまで関わっていく。
チームが6連敗を喫していた時期は、思い切った選択をする機会が限られていた。彼だけでなくチーム全体がリスクを避ける傾向にあったのだが、4月11日の横浜FM戦、17日の横浜FC戦では、チャレンジのパスが増えてきている印象だ。
横浜FM戦の仙台は粘り強い守備でスコアレスドローに持ち込み、横浜FC戦は0対2から同点に持ち込んだ。24歳のボランチが縦パスで攻撃のスイッチを入れ、なおかつ相手守備陣を崩すパスを通す通すことで、仙台の反攻が始まる。