■鳥栖の戦術にフィットした山下
J2からJ1へ個人昇格した選手が活躍するのは、もはや例外的ではない。2019年のオナイウ阿道(当時大分トリニータ、現横浜F・マリノス)、20年の坂元達裕(セレッソ大阪)らに続いて、今シーズンもJ2からステップアップしたタレントがJ1に素早く適応している。
シーズン序盤のJ1に驚きをもたらしているのが、サガン鳥栖の躍進だ。上位チームとの対戦は少なく、チームによって消化試合数にばらつきがあるものの、ここまで6勝2分3敗で3位に食い込んでいる。
チームに勢いをもたらしたのは、ジェフユナイテッド市原・千葉から移籍した山下敬大だろう。浦和との第2節で2得点をマークし、6年ぶりの開幕2連勝の原動力となった。翌節のベガルタ仙台戦では、5対0のゴールラッシュの導火線となる先制弾を突き刺した。
9節の横浜FC戦でも、2得点を叩き出している。ここまで5得点はチームトップで、ランキングでも6位タイだ。
2019年にレノファ山口で11ゴールをあげ、20年はジェフユナイテッド千葉に引き抜かれた。千葉でも7ゴールをあげ、J1への扉を開いた。
自身J1初挑戦となる今シーズンは、鳥栖のチーム戦術に自身の特徴が合致している。どちらかといえばシンプルにFWを使っていく戦いのなかで、得点の可能性が高いスペースへもぐり込み──DFとDFの間へ身体を押し込むような動きは、「もぐり込む」の表現がふさわしい──思い切り良くシュートへ結びつけるプレースタイルが生かされているのだ。