①富の独占

 15チームを固定して5チームを招待する。この時点でスーパーリーグのファウンディングクラブは選ぶ側に回り、自ら特権階級の座に腰を下ろしている。

 スーパーリーグの会長はレアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長だ。副会長にはユベントスのアンドレア・アニェッリ会長とユナイテッドのジョエル・グレイザー共同オーナー、アーセナルのオーナーであるスタン・クロエンケ氏、そしてリバプールのディレクター、ジョン・W・ヘンリー氏の4人が並ぶ。ビッグクラブが自分たちで統治するスーパーリーグは、「自分たちの、自分たちによる」ものであることは確定しており、当然その先には「自分たちのための」と続くことが容易に予想される。

 まず、出場権を保持し続ける、ということ自体が自らへの安定した財源確保に他ならない。

 JPモルガンが40億ユーロを提供する、という話もブルームバーグによって表に出てきており、コロナ禍による減収やUEFAによる放映権料の分配を嫌ったビッグクラブが自分たちが思う存分儲けることができる枠組みを作った、という見方をされるのは当然だ。

 大会フォーマット自体を見てもそれは明らかで、5チームの招待枠でサッカー界全体への支援が実現するとは考えられない。

 チャンピオンズリーグは予備予選から含めればUEFAに加盟する54連盟(※リヒテンシュタインを除く)に門戸が開かれており、20-21シーズンのグループリーグに参加したのは15か国だ。

 スーパーリーグは現在明らかになっているだけでも3か国で12クラブ。残り8クラブが全てバラバラの国から来たとしても11か国にしかならない。

 リリースの中では女子サッカーの整備についても言及されたものの、これは参加チームの女子部門で同様の試みをする、ということになるのが自然な流れだろう。
UEFAがEUROやチャンピオンズリーグで多額の収益をあげていることは事実だが、同時に、育成年代のEUROや女子チャンピオンズリーグなどを整備して大きくしてきたのも事実だ。ノブレス・オブリージュという点で、UEFAが実際に役割を果たしてきたことを忘れてはならない。

 強行した場合、国内の競争が失われた結果と同じように、ヨーロッパ全体でもビッグクラブが不在となったチャンピオンズリーグへの魅力は薄れ、出場チームへの分配金も減ることになる。

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