4月18日に発表された欧州スーパーリーグ。スペインのレアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリード、イタリアのACミラン、インテル、ユベントス、イングランドは、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、リバプール、チェルシー、アーセナル、トッテナムの6チームという、12チームが参加を表明した。これに対して、全世界規模での議論が巻き起こり、わずか2日でイングランド勢は離脱を表明。スーパーリーグも公式声明を発表し、「一時停止」という言葉で、事実上の終焉を迎えた。このリーグ発表は何をもたらし、何を奪おうとしたのかーー。
イギリスでは、政府だけでなく王室も加わり(ウィリアム王子はFAの総裁)、発表された計画を阻止するために力を惜しまないことを表明。リバプールのキャプテン、ジョーダン・ヘンダーソンはプレミアリーグの全クラブのキャプテンにミーティングを提案し、ファンは抗議の声を上げ続けた。プレミアリーグは該当クラブを除いた14クラブが会合を開き、参加クラブに対してスーパーリーグから離脱するよう呼びかけている。
こうした勢いを受けて、マンチェスター・シティは早々に撤退を表明。その他のプレミア勢もそれに続いている。
FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長はUEFA総会で該当クラブに警告し、UEFAは加盟する55協会が満場一致でスーパーリーグを非難する宣言を採択した。
2日もたたずに座礁したスーパーリーグ。早い決着になりそうだが、元に戻ることが本当の解決ではないことを忘れてはならない。
■【全世界のサッカーのため?】「自分たちのためでしかない」という反論も
ノブレス・オブリージュという言葉がある。直訳すれば“高潔な義務”となるが、簡単に言えば、特権階級は社会的責任を果たさなければならない、という道徳観だ。社会の模範となる振る舞いをし、持たざる者への施しも行う。そういうことをしてこそ、特権階級として広く認められる存在でいられる。
今回のリリースの中でスーパーリーグ側が示した、ファンの要求を満たし、サッカーピラミッド全体への財政支援を強化する、という方針は特権階級クラブとしてこの言葉を実行しようとしているように読める。
しかし、それは実現可能なのだろうか?