21世紀になって20年がたち、VARが導入されているのに、相も変わらずオフサイドとハンドリングの判定が議論を巻き起こす。プレーヤーやサポーターだけでなく、レフェリーたちも大きなストレスを強いられている。いったい何が問題なのか。解決するためにはどういう手段が考えられるのだろう。
■幻となった三笘薫のゴール
4月18日に行われたJ1リーグ第10節では、首位を走っていた川崎フロンターレがサンフレッチェ広島と引き分けたかと思ったら、その川崎を追っていた名古屋グランパスもサガン鳥栖に敗れて、結果として首位・川崎と2位名古屋の勝点差が開いてしまう結果となった。
川崎と広島の試合は、かなり奇妙な試合だった。
前半は一方的な展開で、川崎の激しいプレッシングをかわすことができず、広島は敵陣に入ることすらできなかった。あの青山敏弘が前を向いてボールを持っているのに、パスコースが見つからずに後方にボールを下げてしまうような場面すらあったのだ。
結果として、前半は広島はシュートを1本も撃てずに終わった。
ただ、川崎も再三のチャンスを得点になかなか結びつけられなかった。
川崎は、代表ウィークが終わってから5連戦目だった。選手層が厚く、ターンオーバーが可能な川崎にとっても連戦の負担はやはり大きかったようで、かなりの疲労感が見られた。“最後の1歩”が出ないのだ。それが、フィニッシュの段階で正確なパスがつながらず、正確にシュートが飛ばない原因だったのではないだろうか。
それでも、38分には山根視来が右サイドから左サイドの深い位置までダイアゴナルに走り込んでパスを引き出し、そこから脇坂泰斗、家長昭博とつないだ見事な展開から先制。そして、55分には“2点目”が決まった。田中碧が左に振ったボールを受けた登里享平が突破してクロスを入れ、走り込んだ三笘薫が決めた奇麗なゴールだった。
主審はゴールを認めたが、ここでVARが介入した。クロスに対してニアサイドに飛び込んだレアンドロ・ダミアンがオフサイド・ポジションにいたのだ。しかも、クロスに対して足を出しているから当然オフサイドということになる。