■プレミアリーグでもVARがひと騒動
海の向こう側でも最近もVARを巡って問題が起こっていた。これも、オフサイド絡みだった。
4月12日のイングランド・プレミアリーグ、サウサンプトン対ウェストブロムウィッチ・アルビオン(WBA)戦での出来事だ。
試合開始直後の前半4分、WBAのダーネル・ファーロングの右からのシュート性のボールに対してゴール前にいたエンバイェ・ディアニェが頭でコースを変えて押し込んだが、副審のフラッグが上がったのだ。だが、映像を見ると実際にはディアニェのポジションはオンサイドで、オフサイドの位置にいたのはDFのカイル・バートリーだった(ように見えた……明らかに)。
はっきり言って“ありがちな”誤審である。昔だったら「ああ、ラインズマン(線審)がまたやっちゃったな」で済んだところだろう。
だが、VARが介入するとそんなちょっとした誤りも大問題になってしまう。
VARによる映像チェックはまずサウサンプトンのDFヤニク・ヴェスターゴーアの足を基準にオフサイドラインを引いて確認が行われたのだが、ディアニェがバートリーのブラインドになってしまっていたために「ライン」を引くことができず、そのため誤審であることを明確に証明することができなかったのだ。そして、ゴールは認められなかった。
しかし、普通に映像を見れば、ディアニェがオフサイドではなかったことは明らかだった。それなのに「ラインが引けない」というテクニカルな理由でVARが介入できなかったというのはちょっと理解に苦しむ。
確かに、VARを正確かつ公正、公平に運用するためには、その手続きについて厳格な基準を設ける必要はあるだろう。だが、このWBAのゴールのように、たとえ「ライン」が引けなかったとしても、常識的に見てオンサイドであることが明らかなのであれば、やはりVARの主体的な責任によってオフサイドの判定を取り消してゴールを認めるべきだろう。
昔から言うではないか「サッカーのルールの中で最も重要なのは第18条。つまり常識である」と。そして“第18条”はVARにも適用されるべきだ。