■リカルド・ロドリゲス監督からの信頼も勝ち取った武藤

 武藤はこれまで、リーグ戦は2試合のみに出場し、いずれも途中出場だった。それでも、自分の置かれた立場を受け止め、自分自身と向き合ってきたと話す。

「当たり前のことだけど、日々の練習から努力し続けようと思っていました」と武藤。そのなかで、3月28日に行われたエリートリーグの札幌戦では、2ゴールをあげた。「エリートリーグで自分の良さを見せる良いきっかけになったと思う。前の選手というのは、ゴールを決めるだけで気持ちが乗ってきたり、自信がついたりする。良いパフォーマンスができて、リカルド(監督)が使ってくれたので、その期待に応えたかった」と語る。

 先週末のエリートリーグでの得点を経て、今週の練習でも本人も手ごたえのあるプレーができていたそうで、指揮官の信頼をつかんだようだ。リカルド監督も、「彼は練習から良いプレーをしていたし、エリートリーグでも結果を出していたので、今までのパフォーマンスを評価して、スタメンに起用した。ボールを引き出す動き、チームのつなぎのや流れを作る役割で、良いプレーをしてくれた」と評価した。

 武藤は、「正直に言うと、なかなかチャンスがない中で、練習や練習試合でゴールでアピールすることも考えていたが、“自分のできることをしっかり見せないといけない”というふうに意識が変わったと思う」と話す。

「ボールを引き出したり、チームにとって重要な存在にならないといけない。たくさんゴールを決めたい気持ちもあるけれど、考え方の整理ができたのは良かったと思います」と、今節の鹿島戦は気持ちを新たに臨んだことを明かした。“自分にできること”を模索し続け、その役割をしっかりとこなした。そんな武藤の活躍が大きな勝因となり、4試合ぶりの勝利をチームにもたらした。

 鹿島戦で光ったのは、武藤の動きだけではなかった。

※その2に続く

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