◼オフザボールの動きで魅せた、ベテラン・武藤雄樹

 この日、勝利の立役者になったのは、FWの武藤雄樹。今シーズンの武藤は、リーグ戦第6節までで出場したのは2試合のみで、出場時間はわずか13分。今節の鹿島戦で、今シーズン初先発をつかんだ。

 起用は1トップの位置であったものの、最前線でボールを待っているだけではなく、少し位置を下げてボールを受けるシーンも目立った。本人は「1トップらしくない動きだったと思う」と振り返る。「僕が降りたところを2列目の選手が飛び出すようにという話も、(試合前から)みんなでしていた」と武藤が言うように、相手DFを引き付けつる“おとり”の動きをして、ほかの選手たちと連動しながら、チームメイトたちの特徴を生かそうとする意図が感じられた。

 前半37分の明本のゴールシーンでは、武藤がポジションを落としたことで、鹿島のDF陣が武藤に引き付けられ、左サイドにスペースが生まれた。そのスペースに右サイドから西がクロスを送り、走りこんできた明本が抜け出して、先制点を奪った。

 また、後半18分にPKを獲得した場面では、武藤が下がった位置でボールを受け、明本にスルーパスを送ったことで、相手のPKを誘う。ゴールという明確な結果ではなかったものの、武藤のオフザボールの動きはチームに推進力を与え、攻撃を活性化させた。

 試合後、武藤は今シーズンのこれまでについて、「キャンプから完璧なパフォーマンスを続けていたかというと、自分でも納得いかないプレーが多かった。もっとやらなければいけないと思っていました」と、自身の苦しい時期を振り返った。

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