■注目選手(1) GK:大迫敬介

 フォーメーションの図を用意されて、今年の広島のベストメンバーは?と聞かれると、ほとんどの人が同じメンバーを迷わず選ぶ。選手層が厚いとは言えず、どのポジションも1番手と2番手がはっきりしているためだ。しかし、ゴールキーパーだけは意見が分かれる。

 2018年には34試合全てで林がゴールを守っていたが、2019年には大迫が台頭、29試合に出場して五輪代表だけでなくA代表にも選ばれた。2020年は林が19試合で大迫が15試合。1枠しかないゴールキーパーのポジションを巡るハイレベルな競争が繰り広げられている。どちらが試合に出てもJ屈指の安定感を誇り。どちらが1番手かを決めることは難しい。

 五輪代表にはオーバーエイジ枠があるが、今の世代ではゴールキーパーに使う必要はなさそうだ。大迫以外にも、谷晃生湘南ベルマーレ)、波多野豪FC東京)、沖悠哉鹿島アントラーズ)など、出場機会を得て大きく成長している選手が多く、海外にも小久保玲央ブライアン(ポルトガル、SLベンフィカ)や山口瑠伊(スペイン、レクレアティーボ・ウェルバ)がいる。

 ライバルたちが試合に出ている以上、広島で競争に負ければ、オリンピックへの道は閉ざされる。広島での林との競争も、五輪の2枠の登録メンバー入りを争う競争も、どちらも熾烈だが、だからこそ高いレベルに達することができる。そして、試合に負けないことこそ、競争に負けないことに繋がる。だからチーム内競争は大切だ。

 負けられないゴールキーパーの活躍と更なる飛躍に期待したい。

大迫敬介選手 撮影/原壮史
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