■守備力で結果を出すサガン鳥栖アビスパ福岡

 4クラブが自動降格するという今季の特殊条件は、「第4グループ」のサッカーに大きな影響を与えるはずだ。「降格がない」という条件のなかで、昨年は横浜FC湘南ベルマーレといった戦力面で厳しいと見られたクラブも攻撃的なサッカーを見せ、大胆に若手を起用した。しかし今季は、より「保守的」なサッカー、着実に勝ち点を稼ぐことを第一としたサッカーに、少なくともシーズンの後半は切り替えなければならないのではないだろうか。

 そのようなときに最も勝ち点に結びつきやすいのが「守備力」である。サガン鳥栖は昨年の後半に見事な守備組織を見せた。引き続き指揮をとる金明輝監督の下、その組織的な守備に乱れはないはずだ。就任1年でJ2での16位から2位に躍進させ、5シーズンぶりのJ1に導いた長谷部茂利監督率いるアビスパ福岡も、守備に絶対の自信をもつ。J2の42試合で29失点、失点しなかった試合が過半数の22試合という守備力は、「生き残り」の最大の力になる。

 今季の日程は、2回にわたる中断期間があるのが大きな特徴だ。最初が6月上旬から中旬にかけての3週間、そして2回目が、7月中旬から8月上旬にかけての4週間である。最初の中断は日本代表の日程がはいるためだ。本来なら6月には国際試合が2試合はいるだけだったが、昨年9月に消化できなかった2試合分をことしの6月に入れたたため、ここに日本代表の試合が4試合はいることになった。そして2回目の中断は、オリンピックによるものだ。

 最初の中断にはいる前に消化されるのが17節(残り21節)、2回目の中断までに22節(残り16節)が消化される。シーズン開幕当初は苦戦が続いても、この2回の中断期にミニキャンプを行うなどチームを立て直す時間を取ることができる。残り試合数もたっぷりあるので、この2回の中断を経て戦力を充実させ、調子を上げたクラブが最終的に良い結果を得るのではないか。

PHOTO GALLERY 2021シーズンJ1順位予想
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