■世界に自慢したい豊田スタジアムの景観

 関東地方ではないが、歩いて行くのが大好きなスタジアムが、名古屋グランパスがホームとして使用している愛知県豊田市の「豊田スタジアム」である。名古屋駅から地下鉄を乗り継ぎ、名鉄豊田線の豊田市駅で下車すると、スタジアムまでは駅正面の道を一直線だ。広い歩道を10分も歩くと、道は一級河川の矢作川にぶつかる。そして、スタジアムとともに黒川紀章さんが設計した豊田大橋の巨大な白いアーチとともにスタジアムが姿を表す。

 矢作川が刻んだ雄大な段丘の上に、なだらかな屋根のスロープの上に4本の角が突き出たようなスタジアムの景観の素晴らしさは、おそらく世界でもトップクラスだろう。この景観を見るだけでも、豊田スタジアムに行く価値はある。こんなところをバスやタクシーですうっと行ってしまう人の気が知れないと、私は思うのである。

 日本国内で私が最寄り駅から歩いて最も遠かったスタジアムが、柏レイソルのサポーターから嫌われて使われなくなった「柏の葉競技場」である。柏駅から北西方向へ直線距離で約5キロ。調べてみるとほぼ一本道なので、いちど歩いてみた。1時間10分ほどかかったが、歩道のないところが長く続き、車通りも激しいので、いちどでやめた。

 ただし、柏のサポーターたちがこの競技場を嫌ったのは、アクセスの悪さではないと思う。アクセスなど、慣れれば何とも思わなくなるからだ。サポーターたちが我慢できなかったのは、陸上競技場型のスタジアムでサポーター席がとても遠いことだった。もちろん、サポーターたちもさすがにこの距離は歩いてはいなかったが……。

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