■メガクラブのFIFAに勝る部分

 大住良之さんは「独立リーグ」の試みが失敗した例としてコロンビアのリーグを取り上げている。だが、当時のコロンビアのリーグと、現在ヨーロッパのメガクラブが創設しようとしているスーパーリーグでは財政力も人気度もまったく違う。

 当時、コロンビアのリーグに加わったアルフレード・ディステファノなどは、母国アルゼンチンのクラブが経営悪化して、給料の未払いなどが生じたためにコロンビアからの誘いに乗っただけで、永久にコロンビアでプレーするつもりなど毛頭なかったはずだ。

 だから、制裁を受けてFIFA傘下のクラブに戻れなくなったり、ワールドカップに出場できなくなるということは受け入れがたかった。そして、コロンビアの新リーグはあえなく瓦解したのだ。

 だが、現在、もしヨーロッパのメガクラブによってスーパーリーグが結成されたとしたら、彼らはFIFAの傘下に戻る必要性があるだろうか? FIFAは「ワールドカップに参加させない」というのだが、ワールドカップに出場できないと彼らは困るのだろうか?

 困るのはFIFAの方だ。

 ヨーロッパのメガクラブに所属しているようなワールドクラスのスーパースターたちが参加しなくなったら、ワールドカップの人気は維持できず、どこのテレビ局もFIFAに対して天文学的な放映権料を支払ったりしなくなるだろう。つまり、FIFAは逆に収入源を絶たれてしまうわけで、FIFAの金権体質を考えれば、FIFAがすぐに妥協を図ることになるのは目に見えている。

※第3回につづく

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