ヨーロッパが強すぎる。2月11日に決勝が行われたFIFAクラブ・ワールドカップは、バイエルン・ミュンヘンが北中米カリブ代表のティグレス(メキシコ)を決勝で下して7大会ぶり2回目の優勝を果たした。ヨーロッパ勢による同大会優勝は8大会連続となる。世界一のクラブを決定するはずが、「最後はヨーロッパが勝つに決まっている」大会になっている。これでは、その存在意義に疑いを持たざるをえない。
■直前に現地入りする大会独特の移動事情
いずれにしても、リベルタドーレス決勝の激戦の後に長距離移動があったのだから、パルメイラスのコンディションが悪かったのは当然のことだ。
北半球のチームが南米大陸に移動して戦うのが難しいのと同様に、南米のチームがヨーロッパやアジア大陸で戦うのはかなり難しいのだ。
そのため、これまでクラブ・ワールドカップでは南米のクラブは開幕より1週間以上前に現地入りして万全の調整を行っていた。それが、今シーズンは新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大会日程が変更になったため、こういう厳しい日程になってしまったのだ。
一方、バイエルンの方も飛行機のトラブルで到着が遅れたのだが、開催地がカタールだったことで移動の負担は小さかった。クラブ・ワールドカップが日本で開催されると、ヨーロッパのクラブは日本までの長距離移動と8時間の時差調整を強いられるが、開催地がカタールならドイツとの時差はわずか2時間だ。
メキシコ勢の決勝進出は初めてだが、クラブ・ワールドカップでヨーロッパと南米の両大陸以外のクラブが決勝に出場したことは過去に4度あった。
しかし、2010年大会(UAE開催)のマゼンベ(コンゴ民主共和国)以外は3度ともいずれも開催国のクラブだった(2013年のラジャ・カサブランカ=モロッコ、2016年の鹿島アントラーズ=日本、そして2018年のアル・アイン=UAE)。
FIFAワールドカップではほとんどの国が1週間以上前に開催国に入って気候への馴化や時差調整を行って開幕を迎える(それでも、2014年のブラジル・ワールドカップの時は日本を含めてアジア勢はコンディション調整に苦労して惨敗を喫した)。だが、クラブ・ワールドカップでは(南米勢を除いて)どのチームも直前の現地入りが普通なので、やはり開催国までの移動距離が大きな影響を及ぼすのだろう。